日本経済新聞は、日本政府が来年3月末までに周波数帯を無線送電に割り当て、企業の参加を促す規則を作り、Japan WiFi送電技術が実用化されると報じました。

ワイヤレス送電とは、充電ケーブルを差し込まずに通信電波を利用してデジタル機器に電力を供給することです。日本はこれまで、スマートフォンや電気自動車に無線送電技術を適用してきましたが、10センチ程度の短距離が中心でした。これから実用化する技術は、アンテナを使って1 ~ 10メートルの距離から電気を供給するというものです。

地元メディアによりますと、総務省は来年3月末までに920 mhz、4000 mhz、5700 mhzの3つの周波数帯を無線送電に割り当てる方針です。総務省は、無線送電設備を備える前に、干渉を防ぐため事前に届け出るよう企業に求めています。

総務省はその第一歩として、屋内の無人環境での無線送電を認めることにしています。人体への影響や他の通信機器への干渉などを評価したうえで、屋外や有人の環境にも利用範囲を広げていくことにしています。

パナソニックでは名刺サイズでボタン電池を5メートル先から充電できる受信部品を開発しており、住宅やオフィス、工場、インフラの監視・メンテナンスなどに活用できるとしています。オムロンでは、無線送電技術をタグ管理機器やロボットセンサーに活用する計画で、2023年3月末までに製品化する予定です。東芝では、この技術をカメラや小型ロボット、インフラなどへの応用を目指しています。

日本の大学などの研究機関も無線送電技術の実用化を進めています。京都大学のスタートアップ企業が開発した無線送電製品は、ボタン電池を1メートル離れた場所から充電して、電子タグとして物流倉庫業者に提供することができます。

ある調査会社によりますと、世界の無線送電の市場規模は毎年20%のペースで成長し、2027年には3兆2350億円に達すると予測されています。